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転勤族妻はじめました

故郷の福岡に帰りたいと思いつつ、東京、大阪で働き、血迷って転勤族の夫と結婚し、今は石川に住んでいます。だけど意外と楽しいかも!

『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』 七月隆文 感想

書評

今日、東京駅構内の書店で見かけてジャケ買いしたこの本。

だって、表紙が素敵だもの!『神様のカルテ』と同じカスヤナガトさんのイラストだもの!!知らない作家だけれど、狭い駅構内の書店で平積みされるということは、人気を博している人なんだろう。新幹線のお供にと買ってみた。

 

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だけど、結論から言うと、中途半端な小説だった。

設定も、人物描写も、物足りない。例えば、ヒロインの衣服の描写。きっとね、作者の七月さんは、ファッションに疎い人だと思うの。

「髪も身に着けているものもお金がかかっているとわかる華やかなオーラを放っていて~」

「いつもよりささやかに、でも確実華やかで、デート仕様なんだとわかった」

彼女の装いが完璧だと主人公は思うんだけれど、これではどんな服を着ているのかあまり想像できない。シルクの光沢があるとか、シャツをわざと捲し上げてこなれ感を演出しているとか、ファッション雑誌を読んで表現を勉強してほしい。

 

もう一つ気になったは、「びっくり」を使いすぎること。

「びっくりするぐらいおいしかった」63P

「ごめんね、びっくりしたよね」65P

「彼女はびっくりするほど早くぼくに気づいて」67P

ちょっとあんた、10ページ足らずで、こんなにびっくりすることがあるの!?思わず主人公にツッコんでしまって、その後もびっくりが出るたびに、しるしをつけてしまった。

「えっ!びっくりしてテンションがあがる」98Pとかね。まあ、途中からウォーリーを探せならぬ「びっくりを探せ」みたいになり、これはこれで楽しめたので良いけれど、表現が稚拙なのは否めない。帯には泣けるって書いてあったけれど、こんな表現で泣けるわけがない。だけど、ひとつ、この小説で好きな描写があって、それは、主人公が小説を書いていることをヒロインに打ち明け、すごいと言われるシーン。

「その輝く笑顔に、ぼくの宝物が照らされたような気がした。減りもせず、損なわれもせず、ただ…解放されたようなすっとした喜びがあった」

もしかしたらこれは、作者の実体験かもしれない。全体的には物足りない小説だけれど、びっくりの多さにびっくりする、おもろい本でした。

 

ぼくは明日、昨日のきみとデートする (宝島社文庫)

ぼくは明日、昨日のきみとデートする (宝島社文庫)