『この女』 森絵都
今から15年前、中学の時に読んだ本で今でも覚えているのが
『カラフル』という本。
黄色いカバーが可愛くて思わず手に取ったその本は、
可愛らしい表紙とは裏腹に援助交際や自殺する過程についても触れられていて
あまりに面白すぎて、ページをめくる手が止まらなかった。
10代で口ずさんだ歌を人は一生口ずさむというCMがあったけれど、
本だって同じだと思う。
思春期に好きになった本を、作者を、私は多分、一生好きだ。
そんな森絵都の大人向け小説が『この女』。
この本の最後の一行はとても素敵。
~薔薇色のマニキュアに彩られた指が僕の目尻をすっと撫で、
通り過ぎたその腹に小さなしずくを宿す。
そこで初めて僕は自分が泣いていることに気がついた~
主人公が彼女に涙をぬぐってもらうシーンを
どうやったらこんなに豊かに表現できるんだろう。
最後の一行まで面白い小説だった。
- 作者: 森絵都
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2014/06/10
- メディア: 文庫
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