転勤族妻はじめました

故郷の福岡に帰りたいと思いつつ、東京、大阪で働き、血迷って転勤族の夫と結婚し、今は石川に住んでいます。だけど意外と楽しいかも!

コンタクトレンズ物語2 ~恋するオーストラリア編~

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人生で初めて着けたハードコンタクトは、結局あまりの痛さに諦めてしまったが、再びふつふつとコンタクト意欲が沸く出来事があった。夏休みにオーストラリアのホームステイが決まったのだ。語学学校に行くバスの中で、あるいはホストファミリーのパーティーで、いつジョンやマイケルと恋に落ちるか分からない。少しでも綺麗な私を見て欲しい。なんとしてもコンタクトにせねば!

もっと他にやることはあったはずだが、セブンティーンを愛読する17歳にとって、恋を始めるのにコンタクトは必須アイテムだったようだ。そうして私は忌々しいハードコンタクト流出事件も忘れて再び天神の「メガネの愛眼」に足を運ぶこととなった。技術の進化は素晴らしい。この時代に生まれて良かったと思うことの一つは、ソフトコンタクトに出逢えたことだ。何しろ当時のアキビューは神だった。あんなに着け心地のよいコンタクトは初めてだ。どれほどの女子高生がアキビューに背中を押されて高校デビューを果たしたことだろう。アキビューよ、ありがとう!待っててよ、ジョン!こうしてソフトコンタクトと出逢えただけで満足した私は、英語の勉強もろくにせぬまま、オーストラリアへと旅立った。

 

しかし英語での生活というのは想像以上に刺激的で、同時にもどかしい体験だった。ホストマザーに「休日は何をしているの?」と聞かれ、英語の例文で覚えた’I clean my room’と答えたばかりに、さして会話が盛り上がらず終わった初日のディナーについてはまた改めて記すとして、10日間のホームステイで得たものといえば、`HEY,MATE’という使う機会の無い挨拶と、’クカバラ sits in the old gum tree’という、クカバラが何かも理解せぬまま覚えた謎の童謡だけだ。ジョンやマイケルと恋に落ちることもなく、あっという間に帰国した。またしてもコンタクト効果は実感できなかった。ああ無情。